FPGA開発日記

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「半導体戦争」を最後まで読んだ

「半導体戦争」は結構昔に買っていたのだけれども、あまりにも分厚すぎてなかなか読み進められていなかったのだった。 毎日少しづつ読み進めていって、ようやく読み切ることができた。 もう読み切ったというか最後は流し読みのような感じだったけど、とりあえず最後の章まで目を通した。

とにかく長すぎる。500ページくらいある。いくら読むのが早い人でも時間がかかりすぎるでしょう。 感触的にはもう少し縮めて100~200ページくらいにしてほしい。冗長すぎて頭に入らないこともある。

全体的な構成としては、大きく分けて、

  • アメリカにおける半導体の発見とその広がり
  • 日本の成長と凋落
  • 台湾の台頭と中国の成長

半導体に関わっていた人からすると必ず聞いたことのある人物が、歴史上どのような会社でどのようなことを成し遂げてきたのか触れられていて「そうだったのか!」みたいな発見がある。 その部分は面白いが、量が多すぎて頭の中が整理できなくなる。 もう少し相関図とかを作って整理してほしい。

日本の成長とアメリカの逆襲については、結構楽しく読むことができたが、やはり日本の現状を考えると少し悲しい気もする。 だからと言って、あの時日本がどうしておけばよかったのか、なんてのはよくわからない。 そこも含めてこの部分はもう一度読み直してみたい部分でもある。 とにかく、アメリカが日本を巻き返すために、選択と集中をしたうえで死ぬほど本気を出したということは雰囲気で分かった。

最後は、台湾のTSMCと中国に関して。 台湾のTSMCについては、半導体製造のコスト増加に伴って、製造の専業となった台湾TSMCのモリス・チャンが天才だったというほかない。 台湾もTSMCに対して惜しむことなく支援しており、国家を上げて支援していることがわかる。

あとは中国の台頭だ。オバマ政権とトランプ政権では、中国に対する制裁の考え方が大きく違うことがわかる。 中国の半導体企業で最も成長したものといえばファーウェイだろう。 アメリカはファーウェイとSMICに対して制裁をかけている状況だ。 トランプ政権はどちらかというと貿易を中止した結果中国に対して制裁をかけた形だ。 バイデン政権は中国に対してより具体的な制裁をかけている。

ロシアのウクライナ侵攻に伴う半導体の輸入制限についても、自国で半導体を設計できる能力の重要さがわかる。 時代に応じて、半導体の製造をアウトソースするか、それとも自国で製造することを重視するかは変わってきている気がする。 個人的には、現在のような政情だからこそ、半導体を日本で設計・製造する能力は持っておきたいと思うし、だからこそ国家の半導体復興政策には期待していきたいと思う。