2020年も終わりに近づいてきた。今年はとにかくコロナウイルスに振り回された日々だったが、まずは無事に2020年を終えることができて良かったと思っている。この調子でいくと来年はどうなるのかは想像もつかないが、自分のモットーである「制御できないことに悩んでもしょうがない、自分の制御できる範囲で全力を尽くす」で行こうと思う。
RISC-Vの界隈はコロナウイルスと関係なく、様々なアップデートがあった。2020年におきたRISC-V界隈のニュースとアップデートを、ここに纏めてみようと思う。
COVID-19によりほぼすべてのイベントがオンラインに変更
1月下旬から話題になり始めたCOVID-19の影響により、ほぼすべてのイベントがオンラインに変更となった。しかしオンラインとなっても元々情報系のエンジニアにとってはあまり関係のない話で、オンラインでも活発にイベントが行われたように思う。
私がウォッチしていたのは主に以下のイベントだった。RISC-V関連のニュースをピックアップする。
Linley Spring Processor Conference (4月、オンライン)
- SiFiveからベクトル拡張に関する発表。
ISCA 2020 (5月、オンライン)
HotChips 32 (8月、オンライン)
- ETH-Zurichの4096コア「Manticore」の発表。RV32GのSnitchとRV64GのArianeを搭載している。
- T-HeadのRISC-V OoOコアXuantie-910の発表がここでも行われた。
RISC-V Global Forum 2020 (9月、オンライン)
オンラインイベントとして開催された初めてのRISC-Vオンリーの大型イベント。日本からの発表も多数あった。
Linley Fall Processor Conference 2020 (10月、オンライン)
オンラインイベントでの開催。SiFiveから複数の製品群発表。
SiFiveによるVIU75の発表
RISC-V Summit 2020 (12月、オンライン)
毎年恒例で行われていたRISC-V最大級イベント、今年は例によってオンラインで開催。
ソフトウェアエコシステム
ソフトウェアエコシステムについてはかなり拡大してきた。拡大しすぎてもう追うことができていない状態だ。このページがかろうじて最新のサポート状況を見ることができるかもしれない。
開発ボード
MicrochipによるPolarFire Icicle Kitが出荷開始。FU540で4コア構成、Programmable領域を搭載
MicrochipによるRISC-V搭載のFPGAボード。SoC部分としてSiFiveのFU540をサポート。4コア+1コア。動作周波数600MHz
私もこのボードを入手して初期動作の確認をした(Linuxのブートを確認しただけ...)。もう少しいろんな評価を行いたいのだが時間がない...
- 1 x RV64IMAC (SiFive)
- 4 x RV64GC (SiFive)
SiFiveによるHiFive Unmatched開発ボードの発表。FU740で4コア構成、デスクトップ環境構築をサポート。
デスクトップLinuxを動作させることのできるRISC-V開発ボード。FU740を搭載している。SiFive 7シリーズコアIPについては以下を参照のこと。
CPUコアの発表
2020年に発表された主要なRISC-V CPUコア。
SonicBOOM (BOOM v3) UCBによるRISC-VアウトオブオーダCPUの発表
- UCBによる開発。RV64GCをサポート。CARRV 2020にて発表。
アリババによる16コア搭載RISC-Vコア、Xuantie 910の発表。RV64GCVをサポート
- T-Headによる開発。RV64GCVをサポート。
- 32KB / 64KB の L1Dキャッシュをサポート、32KB / 64KB のL1Iキャッシュをサポート
- 64ビット、12ステージのアウトオブオーダ、3デコード、8命令発行
Andesによるスーパスカラマルチコアプロセッサの発表
- AndesCore 45-series。インオーダデュアル発行。8ステージ。L2キャッシュコントローラ搭載。
- RV64GC-P-N
- http://www.andestech.com/en/2020/11/30/andes-announces-new-risc-v-processors-superscalar-45-series-with-multi-core-support-and-27-series-with-level-2-cache-controller/
- http://www.andestech.com/en/products-solutions/andescore-processors/riscv-ax45/
CHIPS AllianceによるSweRV Core EH2とSweRV Core EL2の機能強化の発表
Bluespec, Inc. による、高速かつ無料でRISC-Vコアを評価できる「RISC-V Explorer」の発表
- https://bluespec.com/2020/08/26/bluespec-inc-releases-risc-v-explorer-a-fast-free-accurate-way-to-evaluate-risc-v/
- 初期評価した感じだと、検証パタンを使って複数のコアを同時に評価できる環境、という感じだった。
- オフィシャルサイトはこちら。https://info.bluespec.com/explorer-kit
- Piccolo / Flute / Rocket / Shakti-C / SweRV / PicoRV32 が同時に評価できる環境?
CodasipによるマルチコアとSIMD機能を提供するアプリケーションプロセッサを3種類発表
- codasip.com
- A70XP : P拡張によるPacked SIMDをサポート
- A70X‑MP : A70Xをマルチコアに拡張したもの。
- A70XP‑MP : A70XPをマルチコアに拡張したもの。
Esperanto Technologiesによる1000コア以上の大規模学習アプリケーション用アクセラレータチップの発表
- https://www.esperanto.ai/esperanto-technologies-to-reveal-chip-with-1000-cores-at-risc-v-summit/
- ET-Maxion と ET-Minion による組み合わせ。ET-Minion はVector/Tensorユニットをすべてのコアに備えている。
- ET-Maxion は UCBのBOOMをベースとしており、ET-MinionはUCBのRocket-Chipをベースとしているという話だったが、その後どうなったのか?
EspressifによるWiFiとBluetooth LE5.0接続をサポートしたRISC-Vマイクロコントローラの発表
- www.espressif.com
- ESP32-C3
- 4ステージパイプライン、RV32IMCをサポートしている。
Huamiの新しいRISC-Vプロセッサ:Huangshan-2 (MHS002) の発表
- mobileidworld.com
- こちらはあまり詳細分からず。