FPGA開発日記

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量子プログラミング言語Q#の勉強 (3. Bell状態から量子の状態を測定するサンプルプログラム)

量子プログラミングの何たるかについて、MicrosoftのQ#プログラミング言語チュートリアルを読みながら進めている。 量子プログラミングについて少しわかってみたので、一番最初のサンプルプログラムを読み解いていきたい。

参考にしているのは、これまでと同様にQ#のチュートリアルサイトだ。今回は "Writing a Quantum Program" を読みながら、量子プログラミングの一番最初のプログラムを学んでいく。

docs.microsoft.com

ベル状態とは

これは正直まだ理解しきっていない。しかしベルといくらいだし、量子ビットの状態がまだ確定していない状態、つまり0でも1でもない状態であると考えることができるだろう。

Q#では、量子ビットを定義して、最初にそれを初期化する処理が入っている。下記のプログラムでは、量子ビットqubits[0]を値initialで初期化し、M()操作を使って量子ビットの値を測定している。

using (qubits = Qubit[1])
{
   for (test in 1..count)
   {
       Set (initial, qubits[0]);    // 量子ビットqubits[0]を、値 initialで初期化する

       let res = M (qubits[0]);   // Mは、量子ビットqubits[0]を測定する。これにより量子ビットqubits[0]の値は0 or 1に確定される。

当然、initial=0ならば測定される値は0になるはずだし、initial=1ならば測定される値は1になるはずだ。これは簡単。

Hadamard ゲートを使って量子もつれ状態を作る

次に、量子ビットにHadamardゲートを適用して、量子のもつれ状態を作る。これにより、量子ビット01かわからない状態になってしまう。 ちなみに、Hadamardゲートというのは、行列の形式で記述すると、

$$ H=\dfrac{1}{\sqrt{2}}\begin{bmatrix}1&&1\\1&&-1\end{bmatrix} $$

量子ビットの0/1の状態から、0/1の等しい重みへの写像となるので、これで量子ビットは 0/1のどちらかわからなくなる。 さて、どっちなんだろう?次に、この量子ビットともう一つの量子ビットをCNOTで制御してみる。

Set (initial, qubits[0]);
Set (Zero, qubits[1]);

H(qubits[0]);
CNOT(qubits[0],qubits[1]);
let res = M (qubits[0]);

qubits[0]は現在もつれ状態。qubits[1]=0で初期化されている。 CNOTは前回説明したとおりだ。"qubits[0]が1ならば、qubits[1]を反転する、qubits[0]が0ならば、qubits[0]はそのまま"というゲートのため、

  • qubits[0]=1 ならば、 qubits[1]=NOT(0)=1
  • qubits[0]=0 ならば、 qubits[1]=0

となり、必ずqubits[0]=qubits[1]となることが確認できる。

これがサンプルプログラムの最後の出力に反映されている。

using (qubits = Qubit[2])
{
    for (test in 1..count)
    {
        Set (initial, qubits[0]);
        Set (Zero, qubits[1]);

        H(qubits[0]);
        CNOT(qubits[0],qubits[1]);
        let res = M (qubits[0]);

        if (M (qubits[1]) == res) 
        {
            set agree = agree + 1;
        }

        // Count the number of ones we saw:
        if (res == One)
        {
            set numOnes = numOnes + 1;
        }
    }

出力結果は以下だ。注目すべきなのは以下の2点。

  • qubits[0]の状態は、Hゲートの作用により確率1/2で0か1のどちらかに転んでいる。
  • ただし、qubits[1]の状態は、CNOTの作用により必ずqubits[0]と同じ値に転がっている。つまり、agreeは常に真となっている。
Init:Zero 0s=499  1s=501  agree=1000
Init:One  0s=490  1s=510  agree=1000

なるほど、ここまでは理解できた。次に、Teleportのプログラム解読に取り組みたい。

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