FPGA開発日記

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日経XTECH テクノ大喜利に寄稿しました

日経エレクトロニクスのXTECH、テクノ大喜利のお題「CPUメーカが描くFPGAの未来」というお題目に寄稿させて頂きました。 このテクノ大喜利日経エレクトロニクスで連載されているときから面白くて読んでいたのだけれども、まさか自分が寄稿することになるとは思ってもいなかった。お誘いいただき、ありがとうございます。

大喜利のタイトルは、最近CPUベンダによるFPGAベンダの買収が相次いでいるところから来ています。Intelによるアルテラの買収、MicrochipによるMicrosemiの買収、そしてAMDによるザイリンクスの買収ということでこのあたりについていろいろと思うところを書いた。

xtech.nikkei.com

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今見てみると他の人の回答も載っている。こちらはサーバ観点について詳しく書かれており面白い。私と言えば、FPGAの中でも非常にセセコマシイ開発環境などを中心に書いてみた。あとはサーバと言わず、MicrochipとMicrosemiもあるじゃない、ということで論点を少しサーバからずらすことにした。まあ開発環境については、学生のころからFPGAを使い続けてきたので、かなりの思いが溜まっている。

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そうは言っても最近FPGAは本当に触っていないし、「FPGA開発日記」でありながら殆どFPGAに触っておらずハードウェアの話もほとんどしていないのだが、取り急ぎ昨今のFPGA業界をサーベイし直して記事を作ったという感じだ。 それでも学生のころからFPGAをずっと触っていたので、このあたりについては思うところがある。


自分語りをすると、私が初めてFPGAに触ったのは大学1年生のころで、ザイリンクスのFPGAボードを使って実験をしていた。そのころからFPGAボードはデジタル回路の実験用として使っていたので、その時は昨今のようにFPGAをAIのアクセラレータとして使うというアイデアは思ってもいなかった。 当時はRISC-VなどというISAは存在していなかったので、MIPSの5段パイプラインプロセッサを何個も作ってFPGAに焼いてアプリを動かしてみたり、周辺回路としてDDR-SDRAMコントローラやディスプレイコントローラを自作して、画像を表示させて遊んだりとかそんなことをしていた。

働くようになってからは、FPGAボードは基本的にASICの検証用、ASICの一部分を切り出してFPGAで検証する、ということをやっていた。

一般的なDesign Compilerによる論理合成などのフローはきちんと体験してこなかった(というか、研究室で一応Design Compilerなどは使ったけど、レポートの読み方などは全く教えてもらえなかったので全く身についていなかった)ので、FPGAの論理合成と配置配線のレポートの読み方とか、ISEとかVivadoのフローが私にとって全てだった気がする(そしてそのころからいわゆる論理合成以降のバックエンドが苦手になった)。


FPGA業界にはかなり思い入れがあった。当時は、

  • FPGAこそが、半導体プロセス進化の先端を行くデバイスである。新しいプロセスが登場すると、セルを並べるだけのFPGAで真っ先に製品が作られる。
  • 現代はFPGA側のプロセス進化が止まってしまった。どちらかというとAppleが最先端のプロセスをいち早く使って、SoCでいきなり複雑なチップの製造をやってのけている。

というように、半導体プロセスにおけるFPGAの役割も変わってしまったように思える。

FPGAという業界はなかなか特殊な業界のようにも思える。合成フローはASICのそれと全く違うし、同じFPGAのくせに各ベンダでツール使い勝手もコマンドも全く異なる。この業界がCPUベンダとどのように融合していくのか、あるいはどこぞの買収劇みたいに単なる失敗に終わるのか、将来が楽しみだ。