2016年は、2015年に引き続き半導体業界は買収に揺れた一年であった。2015年程ではないが、2016年の大きな買収のニュースが何件も発表され、業界の再編が進んでいる。
2016年の最後に、2015年、2016年に起きた半導体業界の再編を、買収報道を振り替えりながら振り返ってみよう。
2015年は過去最大の半導体買収が起きた年、2016年はそれに継ぐ規模
上記の資料によると、2015年の半導体買収額は全体で1038億ドルとなっており、2016年では上記の記事が書かれた2016/09/27の時点で553億ドルとなっている。 やはり2015円の買収総額が群を抜いているが、2016年め過去の買収額から比較すると、かなり大きな数字だ。
上記の記事が書かれてから、大きな買収が起きたのはSiemensがMentor Graphicsを買収したくらいだと思っているので、やはり2015年が最大の半導体事業の買収が起きた年であったと言える。
ただし、2016年の買収は、2015年の買収と同じレベルの、大きな衝撃を持ったものも存在する。
ARMがソフトバンク傘下へ、その影響は
個人的には2016年の半導体買収ニュースのうちで一番大きな事件と言えば、やはりソフトバンクによるARMの買収だった。
私がデジタル畑の人間であるということもあるが、半導体業界最大のCPU/IPベンダであるだけに、その影響は未知数として報じられた。
これまでARMのIP供給を受けてきた半導体企業に取って、ソフトバンクにARMが買収されたことによる条件の変動、値段の変化、または品質の変化などに対する懸念も考えられる。 サムスンなど、ARM以外の別のCPUコアIPを検討するベンダも登場しているし、またモバイル向けGPUであるMaliもどのように変化するか分からない。この場合は、Imagination TechnologiesのPowerVRへの影響も相当存在するであろう。
半導体業界のターゲットは、自動車、AI、そしてIoTへ
半導体業界は、かなり短いスパンでメインとなる製品機器が変わる。たとえば、ほんの数年前までは携帯電話、スマートフォンが半導体業界の売上の中心を占めており、それによりQualcommが急成長したという背景がある。 サムスンの急成長もしかりだ。
しかし、そのQualcommも、NXPの買収から分かるとおり、自動車方向へ照準を変えつつある。また、ルネサスエレクトロニクスも、自動車産業への半導体供給を自社の生命線としている。
これはやはりスマホ市場の徐々に成長が鈍化してきたということ、そして中国を中心としたより安価に半導体を設計できるベンダの登場により、徐々に利益を確保できる領域も狭くなってきたものと思われる。
一方、ハイパフォーマンスの業界については、nVIDIAを始めとする半導体メーカーがAIに照準を当てている。ディープラーニングとか言うアルゴリズムのおかげで、 どんどん半導体チップの数を増やせば何とかなるという状態が出来上がっている。これにより、各社チップの数とバンド幅を増やしたチップを開発していく傾向となった。
IoTの世界では、より低消費電力ということに焦点を当てたチップの開発が進んでいる。今後はセキュリティなどを強化したチップなども登場してくるのでは無かろうか。