FPGA開発日記

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2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

LLVMのバックエンドを作るための第一歩 (15. ISelLoweringによりInstruction Selection)

MYRISCVXISelLoweringはLLVM IRからSelectionDAG(データフローグラフ)への変換プロセスだ。バックエンドのかなり初期の部分で適用される。 ここで必要な実装はMYRISCVXISelLowering.cppを実装する必要がある。ここではLowerReturnとLowerFormalArgumentsを実…

RISC-VボードSipeed Maix GOを試行する(1. 組み立て)

Sipeed Maix GOはRISC-Vコアの搭載された小型ボードだ。 www.seeedstudio.com このボードのスペックについては、上記のページをそのまま引用すると、 In hardware, MAIX have powerful KPU K210 inside, it offers many excited features: 1st competitive R…

SiFive Tech Symposium in TokyoのAgenda公開

いつの間にか公開されていた、SiFive Tech Symposium in Tokyoのアジェンダを見ることができるようになった。 sifivetechsymposium.com 情報が錯綜していてどうしたらいいのか分からなかったが、これが正式なアジェンダ、なんだと思う。 結構他の都市のイベ…

LLVMのバックエンドを作るための第一歩 (14. LLVMInitializeCPUTargetMC()により登録されるクラス群)

printInstruction()などの命令プリントメソッドとMYRISCVXTargetMachineとの関連付けは、MCTargetDesc/MYRISCVXMCTargetDesc.cppで行われている。 LLVMInitializeMYRISCVXTargetMC()により登録されるクラス群 llvm-myriscvx/lib/Target/MYRISCVX/MCTargetDes…

LLVMのバックエンドを作るための第一歩 (13. 命令のプリントに関するメソッド群)

命令のプリント、つまりアセンブリ命令をファイルに出力する処理は、基本的にMYRISCVXInstrInfo.tdに記述した命令の定義に基づいて生成される。 LLVMではPrintInstruction()というメソッドがその役割を担います。 このメソッドはMYRISCVXInstPrinterクラスに…

LLVMのバックエンドを作るための第一歩 (12. llcのターゲット・CPU・アトリビュートの関係)

llcでLLVM IRからアセンブリ言語を生成する場合、バックエンドのターゲットとして大きく分けて以下の3つを指定する。 ./bin/llc -march=myriscvx32 -mcpu=simple32 -mattr=-64bit コマンドラインから設定されるターゲットの情報と内部変数の関係 それぞれが…

LLVMのバックエンドを作るための第一歩 (11. LLVMが独自ターゲットマシンを認識する仕組み)

LLVM Compiler Infrastructure MYRISCVXTargetMachineはターゲットマシンを定義するファイルである。 また、MYRISCVXTargetMachineを継承したクラスとして複数のターゲットマシンを作ることができる。 MIPSなどのバイエンディアンのアーキテクチャでは、リト…

LLVMのバックエンドを作るための第一歩 (10. サブターゲットを追加するためのSubtargetFeature)

LLVM Compiler Infrastructure 前回に引き続きLLVMのバックエンドを作るために必要なファイルを読み解いていく。 MYRISCVXSubTarget.{h,cpp} サブターゲットはMYRISCVXの中でもアーキテクチャのバリエーションを付けるために使用されるもので、その名の通り…

セキュリティプロセッサMorpheusの論文を読む。ランダム化のための"Churn"とは。

少し前のニュースで、ASPLOS19でRISC-Vをベースとした新しいセキュアプロセッサの発表が行われたというニュースを見た。 Morpheus: A Vulnerability-Tolerant Secure Architecture Based on Ensembles of Moving Target Defenses with Churn dl.acm.org セキ…

xSIG 2019にてRISC-Vとオープンハードウェアについてチュートリアル講演を行います

2019/05/27(月)~2019/05/28(火)に開催されるxSIGと呼ばれるワークショップにて、RISC-Vについてチュートリアル講演を行います。 xsig.hpcc.jp xSIGというのは、「クロス・シグ」と読むらしく、「The 3rd cross-disciplinary Workshop on Computing Systems,…

LLVMのバックエンドを作るための第一歩 (9. MCTargetDescとABIInfo)

LLVM Compiler Infrastructure 前回に引き続きLLVMのバックエンドを作るために必要なファイルを読み解いていく。 MCTargetDesc/MYRISCVXMCTargetDesc.{h,cpp} MYRISCVXMCTargeTDescでは明確なクラスを定義するわけではない。 その代わりに、これまでTarget D…

Intel CPUの脆弱性"ZombieLoad"の論文を読んでみる

Intelがまた出した。Meltdown / Spectre系のCPUの脆弱性として新たに発表された"ZombieLoad"である。 これもまた論文が発表されている。これらの論文は、最新のCPUの技術を勉強するにあたって非常に有用なものだ。ZombieLoadの論文を読んで、どのような脆弱…

LLVMのバックエンドを作るための第一歩 (8. Calling Conventionとレジスタ定義)

LLVM Compiler Infrastructure MYRISCVXCallingConv.td MYRISCVXのCalling Convention、つまり呼び出し規約について設定するTarget Descriptionファイルだ。MYRISCXVの呼び出し規約は、RISC-Vのものをそのまま使用しようと思う。 ここでは、関数呼び出しの時…

ChiselのParametersとConfigによるパラメタライズの方法

Chiselで記述されたRocket-Chipのデザインを見ていると、不思議な演算子が使われているのを見たことがあるかもしれない。 ConfigInRV32, ConfigInRV64, ConfigOutによるパラメタライズ src/main/scala/system/Configs.scala class DefaultConfig extends Con…

LLVMのバックエンドを作るための第一歩 (7. ターゲットとサブターゲット)

LLVM Compiler Infrastructure MYRISCVXTargetMachine.{h,cpp} その名の通りターゲットマシンを定義するファイルだ。MYRISCVXTargetMachineはLLVMTargetMachineを継承したクラスで、ターゲットマシンのすべての情報を集約する。 このクラスには、サブターゲ…

LLVMのバックエンドを作るための第一歩 (6. ELFとリロケーションレコード)

LLVM Compiler Infrastructure LLVMのバックエンドにオリジナルターゲットアーキテクチャを追加していくプロジェクト、MYRISCVXターゲットアーキテクチャを追加したら、今度はELFの情報を追加する必要がある。 MYRISCVXはRISC-Vのオリジナル実装なんで、ELF…

RISC-VボードHiFive UnleashedでWebサーバを立ち上げてみる

HiFive Unleashd上でDebian GNU/Linuxが動いてしまえば、あとは様々なことが可能だ。 ウェブサービスを立ち上げたり、各種アプリケーションを立ち上げることも可能となる。 例として、ngnixをインストールして、簡単なウェブサーバを立ち上げてみる。 といっ…

AWS F1インスタンス上のFireSimを実行する(10. FireSimのワークロードを作成してプログラムを動かす)

Rocketコアをカスタマイズし、FireSimのプラットフォームに乗せ、さらにFPGA合成したAGFIまで作成した。いよいよf1インスタンス上で動作させ、ベンチマークプログラムを動かす。 このとき、前章で紹介したようにFireSim上でBuildrootを立ち上げLinuxにログイ…

AWS F1インスタンス上のFireSimを実行する(9. カスタマイズしたFireSimのFPGAイメージを作成する)

カスタムアクセラレータ付きのFireSimデザインが完成したので今度はVivadoで合成し、f1インスタンスで動作させるためのAGFIを作成する。AGFIとはAmazon Global FPGA Image IDの略称で、FPGAのイメージのようなものだ。このイメージIDを指定することで、何度…

AWS F1インスタンス上のFireSimでBOOMコアをシミュレーションする試行(8. カスタマイズしたアクセラレータをFireSimのプラットフォーム上に構築する)

FireSimの環境で、どうにかRocketシングルコアを動かすことができた。ここまでできれば、今度は様々なハードウェアをf1インスタンスで動かしてみたい。RocketはChiselというハードウェア記述言語で設計されているが、ChiselでオリジナルのモジュールをRocket…

RISC-Vの開発環境をcrosstool-ngとriscv-toolsでセットアップする方法

RISC-Vでのハードウェア・ソフトウェア開発をするにあたり、まず必要になるのがツール群だ。 RISC-Vのソフトウェアツール群は、riscv-toolsというリポジトリにまとめられており、まずはこのリポジトリをダウンロードしてコンパイラなどを構築する必要がある…

AWS F1インスタンス上のFireSimでBOOMコアをシミュレーションする試行(7. Firechipでオリジナルデザインを設計してシミュレーションする)

FireSimの環境で、どうにかRocketシングルコアを動かすことができた。ここまでできれば、今度は様々なハードウェアをf1インスタンスで動かしてみたい。RocketはChiselというハードウェア記述言語で設計されているが、ChiselでオリジナルのモジュールをRocket…

Wi-Fi モジュールの付いたRISC-Vボード HiFive1 Rev.Bが届いた

SiFive社が販売しているRISC-Vボードの第3弾、Wi-Fiモジュールの搭載されたRISC-VボードHiFive1 Rev.Bが自宅に到着した。 HiFive1 Rev.Bパッケージ HiFive1 Rev.B内容物 HiFive1 Rev.Bの仕様は、SoCの部分はHiFive1と一緒だ。 動作周波数320MHz RISC-Vコア F…

AWS F1インスタンス上のFireSimでBOOMコアをシミュレーションする試行(6. Firesimで生成されたDCPをVivadoで表示する)

FireSimのシミュレーションに使用する独自のAFIイメージを作成する。 AFIとは、Amazon FPGA Imageの略称で、AFIを作成しておけばすぐにAWS f1インスタンスにデザインをデプロイできる。 Amazon S3のアカウントをセットアップしていることを前提にする。 Amaz…

RISC-VのVector Extensionの仕様概観

少しRISC-VのVector Extensionについて調査した。 Vector Extensionは、いわゆるベクトル命令だ。1命令で複数のデータを扱う方法といえば、SIMD(Single Instruction Multiple Data)もあるが、RISC-Vではまずはベクトル命令が定義された。現代のアーキテクチ…

RISC-Vの命令セット一覧表のページを作った

RISC-Vの命令セットは、riscv.orgに掲載されているRISC-V User-Level ISA Manual V2.2 を見ればほとんどを把握することができる。 また、RISC-V Reader(日本語版 RISC-V 原典) にも命令セット一覧表が掲載されており、これを見ればRISC-Vの命令セットの概要…

「ファクトフルネス」を読んだ

巷で話題になっている書籍「ファクトフルネス」を読んだ。ゴールデンウィークで時間が少しできたので一気に読みこんだ。 単なる創造や、メディアの一方的な情報だけを信頼していると、実はより広い目で見るとそれは誤っている、という話を様々なストーリーを…

LLVMのバックエンドを作るための第一歩 (5. 命令の定義)

LLVM Compiler Infrastructure LLVMバックエンドを追加するにあたり、MYRISCVXアーキテクチャを定義するためのtdファイルを作成する必要がある。 tdファイルはLLVMのバックエンドを定義するためのDSLで、バックエンドを理解するためには避けては通れないもの…

LLVMのバックエンドを作るための第一歩 (4. 命令フォーマットを定義する)

LLVM Compiler Infrastructure LLVMバックエンドを追加するにあたり、MYRISCVXアーキテクチャを定義するためのtdファイルを作成する必要がある。 tdファイルはLLVMのバックエンドを定義するためのDSLで、バックエンドを理解するためには避けては通れないもの…