FPGA開発日記

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歳を取ったエンジニアとして腕力のある若手にどうやって立ち向かおうか考えた

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この記事はFPGA開発日記の祝2,000記事到達の記念に書いているものです。 普段の記事と比べて非常にエモい内容となっております。

FPGA開発日記を始めたのが2015年の1月4日。それからおよそ5年と10か月で2,000記事に到達した。 計算してみると2,115日での2,000記事達成となっていた。我ながらよく頑張った。

ブログを書き始めてもう5年以上経った。5年も経てば周りの状況も変わるし、生活環境も変わる。

私も歳を取り、決して若いとは言えない年齢になった。昔のように徹夜で勉強とか実装はできなくなったし、肩は凝るし集中力は続かない。夜になるとすごく眠たくなる。仕事が終わったらすぐ眠たくなってしまい、趣味やブログを執筆する時間を取るのがとても難しくなってきた。

私が年を取れば取るほど、若い実装力のある、優秀な人たちが参入してきて、私の何倍ものスピードで成果を出していく。 私が持っている武器と言えば、年の功というか、例えばRISC-Vについてはかなり早い段階で参入したこともあり経験値で言うと少しだけ積んでいると思う。でもそんな経験値とか関係なく、若い人はものすごい実装力で私の経験値を追い越していく(東大のCPU実験とか、私が一生掛かっても出来なさそうな猛烈実装を短時間で仕上げてくる)。

で、そんな人たちが社会に出てきて、ある時はライバル企業のエンジニアとして登場し、あるときは頼もしい仲間になる。 しかしそんな若い人達の中で、年の功しかメリットのない私には何ができるのだろう?

マネージャー?エンジニア集団の中で、若い人の技術と知識をわかっていない人がどうやってマネージメントするんだろう? 下手すれば老害化しそうだ。 評論家?技術で置いてきぼりになった老人の評論など誰も聞いてくれるはずがない。 若い人と一緒に実装?もはや力量と腕力ではかないそうもない。

で、結局どういう方向に向いたって技術を学び続けなければ置いてきぼりされるという結論に至った。 でも、どうやって学ぶ?時間はない。集中力も続かない。昔のように、先輩に聞けば教えてくれるという立場ではない。


話は変わるが、昔学会(ISCA 2019)の論文を大量にダウンロードして、一気に読もうとやる気になったことがある。 しかし、いざダウンロードを始めると大量の論文に圧倒されてしまった。60~70本くらいある。 これを全部読み切るとなれば、24時間体制で読み続けても1か月でも全然足りない。

結局全部読むのは諦め、Abstractだけ翻訳サイトに流して読んだ。

例えば翻訳サイト。これを卑怯と考えるのか、時短のための効率化と考えるかは、人それぞれだ。 とにかく時間がない。圧倒的に体力が足りない。だったら、なるべく現代最強の武器を多用して効率的に勉強しよう。でないと若い人について行けない。


学習においてメリハリが重要だということを痛感する。論文を読む、英語の本を読む。しかしこの場合「英語を理解する」という部分は本質的ではないため省略したい。とにかく本質に早くたどり着き、そこに十分な時間を割きたい。

新しい分野を学びたい。なんだか格好良さそうな、分厚い名著が若い人に人気なようだ。 しかしそんな小難しい、正面から立ち向かっても時間がかかるばかりのものから手を出してしまっては、しょっぱなから心が折れてしまう。格好は悪いかもしれないが「サルでもわかる入門書!」みたいな奴からスタートしよう。

いろんな道具を駆使して若い柔軟な脳に立ち向かおう。若い人に比べて資金的にも少し有利に立っていると思う(なんて言うと汚らしいかもしれないが)。必要なところに、しっかり投資しよう。

そして若い人からも十分に学ぼう。教えを乞うことを恥と思わず、彼らの技術をしっかり学び、分からなければ聞こう。

老人には、老人なりの戦い方があるのだと思う。 歳を取ったエンジニアは、腕力ではなく、自分の経験と技術を最大限活用して若いエンジニアと常に共闘できるようにありたい。